おかげさまで4周年を迎えることができました。
この機会に気持ちを表現することの大切さについてコラムを書いてみました。
『言葉にする大切さ、言葉にする難しさ』
9月25日にビオラボは4周年を迎えました。これからも地域に根ざした相談室として、また、来室された方に寄り添い気持ちが温かくなるような相談室として邁進していきたいと思っております。
心理療法には色々な手法がありますが、私たちはお子さんを含め、来室された方々が、何に困り、悩み、そして本音はどこにあるのかを、ともに探りながら、寄り添いながら進むべき道を探求していくという方法をとっています。
精神分析においては、人の心は意識、前意識、それから無意識が想定されています。意識レベルで感じていることと無意識レベルで感じていることが乖離(かいり)すればするほど苦しみにつながるのだろうと思います。ですので、お話を聞きながら、または遊びながら心の奥底にある“気持ち”を考え、感じ、共有する作業をしています。
自分では気が付いていない思い、普段は心の奥底に閉じ込めている思いに触れた時、新たな気づきが生まれ、人との付き合い方が変化したり、ストレスと上手に付き合えるようになるなど、それまでの苦しみや悩みが軽減されることが多々あります。しかし、心の奥底にある気持ちに触れること、気が付くことは容易なことではありません。その大変なプロセスを共にするのも私たちの仕事の大切な役割の一つであると考えます。
気持ちを表現する力は、言語能力に比例しない場合もあります。言葉の発達がとてもよくても、気持ちを言葉に乗せて誰かに伝えることが苦手な人やお子さんもいます。反対に、お話が苦手であっても、言語以外、例えば絵や遊びを通して上手に伝えることのできる人たちもいます。
特にお子さんは成長している段階なので、自分自身の気持ちに気が付くことや、言葉で伝えることが難しいと思います。ですので、遊びを通してそのお子さんの気持ちを共有し自己理解を促します。プレイセラピーは“一緒に遊ぶこと”のみではなく、“遊びを通して心の世界を知る”ことを目的として行っています。
自分の心の中にある気持ちを表現することは、心の健康にとても大切なことです。どう言葉にしたらよいか分からないこともあるかもしれません。もしくは、日々忙しくて心の声に耳を傾けられないこともあるかもしれません。しかし心にどんどんと溜めていってしまうのもよくないので、気持ちを誰かに話す、文章にする、言葉することが難しければ好きなことに没頭する時間を確保するなど、自分なりのため込まない方法をぜひ探してみてください。
また、お子さんをみていて、何か心にため込んだり、抱え込みすぎていることで苦しみや悩みが生じていそうだなという時にも、お子さんに合った方法で心の中にある思いを表現できるよう促してあげてください。その際、不安や怖い気持ち、怒りなどネガティブな思いを抱いていてもいいことも伝えてあげてください。どうしてかというと、自分が感じている思いを消そうとすると、どんどんと苦しみが増してしまうからです。ポジティブな思いとネガティブな思い両方を抱えられることは成長につながることにもなりますので、お子さんが表現した気持ちを一緒に抱えてあげられるととてもよいと思います。
最後になりますが、自分なりの方法やお子さんに合った方法で気持ちを表現したり、リフレッシュしてみてもなお、苦しさ、しんどさが増してくるようでしたら、ぜひご相談ください。
第2号 2020年9月30日 発行
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